調味料の選び方|大手メーカーが2種類作る理由と裏表示の見方
先日、家族のキッチンでおからの煮込みハンバーグを作りました。


庭で採れたネギの出汁巻き卵も一緒に。


出汁は添加物ゼロの自然由来のものにしたら、「おいしいね」ととても喜んでもらえて。
うれしくなって、ふと冷蔵庫の調味料を見せてもらったんです。
そこに並んでいたのは、名前のよく通った大手メーカーの調味料たち。
本人はごく自然に「ちゃんとしたメーカーのものだから」と選んでいました。
その中には、私だったら選ばないものが、いくつも混ざっていたんです。
これは、その人の選び方が悪いという話ではありません。
今日はむしろ「そういう構造になっている」という話を書いてみたいと思います。

和食に戻した人ほど、はまりやすい落とし穴

小麦や植物油、乳製品、甘いものを控えて、ごはんと味噌汁を中心にした食事に戻す。
ここまでたどり着いた人は、実はもうかなりの少数派。
ところが、ここに落とし穴があります。
主食と献立は和に戻せても、調味料が昔のままとは限らない、ということ。
醤油、味噌、みりん、酢、出汁。
和食の土台になるものたちには、伝統的な製法で時間をかけて造られたものと、短期間で大量に造られるものの、両方が存在します。
そして後者には

私が普段の暮らしで避けているもの、たとえば甘味料や、名前だけでは正体のわかりにくい成分が入っていることが少なくありません。
「和食にしたのに、なんとなくすっきりしない」
もしそう感じている方がいたら、一度、調味料の裏の表示を眺めてみてほしいのです。
なぜ大手メーカーは「2種類」作るのか
ここで多くの人が不思議に思うはずです。
「有名なメーカーなのに、どうして?」と。
答えはシンプルで、メーカーは、売れるものを作る会社だからです。
伝統的な製法は、時間がかかります。
原材料も選びます。
当然、値段は高くなる。
一方で、多くの人が買い物で最初に見るのは値段です。
だから、手に取りやすい価格帯の商品を作らなければ、棚の競争に負けてしまう。
つまり大手メーカーの棚には、こだわる人のための伝統製法ラインと、日々の家計のための量産ラインが、同じロゴをつけて並んでいます。
どちらも「その会社の商品」であることに嘘はありません。
これは、メーカーが悪いという話でもない
私たちが「安いほう」を選び続けてきた結果として、市場がそういう形になった。
売る側と買う側、両方でつくってきた構造です。
だからこそ、知っている人だけが、同じ棚から違うものを持ち帰ることができる。

「棚に並んでいる=安全に食べられる」ではない、けれど
もうひとつ、私たちが無意識に信じていることがあります。
スーパーの棚に並んでいるものは、全部安心して食べられるに決まっている、という感覚です。
もちろん、法律の基準は満たしています。
今日明日どうこうなるものは売られていません。
でも「基準を満たしている」ことと「自分の体と暮らしに合っている」ことは、別の話です。
その最後の見極めは、棚ではなくて、私たち一人ひとりの手に委ねられています。
じゃあ、どう見極めるのか。
私がやっているのは、ふたつだけです。
ひとつめは、裏の表示を見ること。
原材料が短くて、昔の台所にあったものだけで書かれているか。
醤油なら「大豆・小麦・食塩」、味噌なら「大豆・米・食塩」。
このシンプルさが、ひとつの目印になります。
ふたつめは、ご先祖さまの台所を想像すること。
江戸の頃の味噌蔵に、果糖ぶどう糖液糖はあっただろうか?
昔ながらの醤油は、数ヶ月でできただろうか?

ここは歴史を少し知るだけで、表示を読まなくても
「これは昔ながらのものかどうか」の勘が働くようになるよ
こちらは時間がかかりますが、一生ものの物差しになります

説得より、一皿。理屈より、お土産
さて、冒頭の家族の話に戻ります。
冷蔵庫を見せてもらったあと、私はこの「2種類ある構造」の話をしました。
責めるためではなく、種明かしとして。
すると「なるほどねぇ」と、すっと入っていったようでした。
選び方を否定されると人は身構えるけれど、構造の話なら一緒に眺められるんですよね。
そしてもうひとつ、決めたことがあります。
これからは、私が本物の調味料を時折買って、お土産に持っていくこと。
使ってみて、おいしかったら、リピートしてもらえたらいい。
それだけです。
遠回りに見えるかもしれません。
でも、人は「正しさ」ではなかなか変わらなくて、「おいしさ」でなら自然に変わっていく。出汁巻き卵を「おいしいね」と食べてくれたあの顔が、何よりの証拠でした。
押しつけない。
ただ、置いておく。
台所の隅に置かれた一本の醤油が、いつか誰かの物差しを静かに変えるかもしれない——そんなことを思いながら、おからハンバーグの土鍋の蓋を開けた一日でした。

知識って、増えるほど暮らしが複雑になりそうな気がしますが、実際は逆でした。
見極められるようになると、必要なものはどんどんシンプルになっていく。
私は最近、ごはんと味噌汁とぬか漬けがあれば、ほかに食べたいものがほとんどなくなってきています。
そしてそのシンプルさは、家計にも、心にも、ずいぶん優しいのです。
まずは今夜、おうちの醤油の裏側を、そっとめくってみてください。
そこから始まる物語が、きっとあります。

